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みなとの役割 その2

街のシンボル、にぎわいの中心となるところ

日本は海に囲まれた国です。かつて船は海をわたる人々の大切な「足」であり、人とともに文化も運ばれ、船のつく港は、さまざまな地域の文化をはぐくみながら街を形づくってきました。 このように街と共にあゆんできた港。今、そういった街と港が一体となって、ひとつの都市をつくり、港が街のシンボルとなって、人々が集うにぎわいの中心となっています。 また、港まつりをはじめ、海や港にちなんださまざまなイベントの場、ショッピングを楽しむ場としても、港のある空間がにぎわいの輪を広げています。 さらに、施設として古くなった港の美しい姿を残しながら、美術館や水族館などが一体になったレジャー施設をつくるなど、人が集まり、遊んだりできる港の姿をめざした『港の再開発』も進められています。

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港は環境をまもり、憩いの空間をつくりだすところ

日本はこれまで、工業・産業を発展させながら経済的な成長をとげてきましたが、最近では、経済的な豊かさだけでなく、環境を大切にしたり、やさしさやゆとりの中で個性を大切にする社会へと人々の意識が変化しつつあります。 そしてそれらの産業経済活動を土台部分でしっかりと支えてきた港自体もまた、時代の変化にともない、姿を変えつつあるのです。 現在の港は、物流や産業立地の中心地としての役割に加え、環境を保全するための施設や海と親しむ親水区域、公園緑地などを整備して、みなさんに快適でやすらぎのある憩いの空間を提供することも大切な役割となってきています。 ヘドロや汚れた泥を処理して海に流さないようにしたり、海辺の公園や野鳥のつどう公園をつくっているのもそのためです。

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港は自然災害から暮らしをまもってくれるところ

海と陸、そして海と人をつなぐ場所「港」。 じつは、港にはもうひとつ「暮らしをまもる」という大切な役割があります。

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たとえば海。みなさんも知っているとおり、ふだんの海は私たちの仲の良い友達ですが、天気が悪いときや地震が起きたときは、大暴れして、ものすごいスピードでせまってきます。そして陸には何十メートルの高波が押し寄せ、海岸をこわし、建物や人の命をあっという間にさらって行ってしまうのです。

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では、港やそのまわりではどんなふうに私たちの暮らしをまもっているのでしょう。 じつは海岸や港の入り口には、津波や高潮が押し寄せてこないようにくい止める防波堤や、海岸が削られないよう波を防ぐ護岸とよばれる施設がたくさんつくられているのです。 最近ではいろいろな工夫が行われ、親水性を高めた階段式の護岸や、自然の砂浜の姿を残しながら決壊を防ぐ護岸なども次々と登場しています。

このように、港があるおかげで、船が安全に行き来できるだけでなく、人が安心して暮らし、海と親しむことができます。港は今や、人や荷物が集まる「物流」の中心地としてだけでなく、海と人、人と人とをつないでゆく「交流」の中心地として、私たちの暮らしと大きくかかわっているといえるでしょう。

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